新婚早々1ヶ月も独りでカリフォルニアに行ってしまうような嫁が、初めて夫を伴っての里帰り。「どこに隠していたのー?」 「やっと会えるのね」などと言われ満を持しての夫の登場。ところがネ、たいへんだったのよ~。
【プロローグ】
夫の心境↓
ナパに行けば各ワイナリーで「ケイのハズバンド」という扱いをうけることは間違いない→にこやかに英語で挨拶やジョークを言わねばなるまい、妻に恥をかかせてはなるまい→あれほど英会話練習しておいて、と妻に言われていたのにフランス語講座にハマって全くしていない(しかもフランス語も頓挫中)→おいしいワインはじゃかじゃか飲みたいから行きたい→どうしよう。
あんまりニコニコ顔とは言えない夫は、英語での会話が続くと、理解しようと努めるあまり顔がコワくなる、という現実に直面。しかも我が家で英会話の練習をしようものなら、ものの5分で頭痛発症。
「僕のこと夫って紹介するのやめてよ。カメラマンって言えば気がラクだし、英語しゃべらなくていいからさー。」
ナパに到着後、このセリフを口にした途端に新品のニコンを地面に落とし、フレームがゆがんでしまった。そんなショボいデジカメを持ってるカメラマンなんて見たことないよー。
わかった。無理して英語しゃべらなくてもいいから。日本語で言えば私が全部訳すから。せめてニコニコ笑っててね。お願いね。「わかってるよー」 ほんとかなー。
【ちょこっとリポート本編】
そこで今回のメルマガは、夫の行動に焦点をあてた珍道中の一部を抜粋してのちょこっとリポートです(本人承諾済)。きちんとしたワイン&レストラン情報は次号にて。
★ 『ポール・ホッブス』
いきなり全米から集まったプロ達と一緒にテイスティング、という洗礼を受けながらも「背筋をのばして、片言でもいいから声は大きく」と後ろから励まされつつ、ぐびぐびグラスを空ける夫。「くーっ!うまいなぁ♪」独り言以外あまり言葉は発しなかったけれど、ポールが来日した時 一緒に天ぷらを食したことが奏功し、彼が一所懸命話しかけてくれたおかげでなんとか乗り切った様子。
★ 『アリエッタ』
のオーナーである名オークショニエー=フリッツ・ハットンの自宅を訪ねた折、あれほど練習したセリフ「 I am pleased meet with you. 」は全く出てこず、最初の言葉は「ハーイ、ハウアーユードゥーイング?」のみ。旧知の友人じゃないんだから…。試飲しながら、フリッツがエチケットに描かれているベートーベンの『アリエッタ』や『ヴァリエーション1』をスタインウエィのピアノで奏でてくれている間、うっとり顔で自分の世界に入った模様。『アリエッタ』を飲みながら、オーナー自らアリエッタを弾いてくれているんだ!気の利いたこと何か言ってくれー。わき腹をつつく。
※ 白ワインの『On the White Keys オン・ザ・ホワイト・キース』は38小節まで、ずっと白い鍵盤のスコアが続く(黒い鍵盤の出番なし)旋律から名づけられたこと、『ヴァリエーション』は実は『1~4』まであることも実際に演奏してもらって初めて知る。
★ 『カール・ロウレンス』
の大大大ファンである夫は、念願叶ってオーナー/ワインメーカーのマイク・トルヒロとその愛娘ソフィアに会うことができて大喜び。ワインメーカー自らが抜栓し注いでくれる『’04 カール・ロウレンス』はさぞかし旨かろう。「こ、これ…うますぎる」とつぶやきしばし沈黙。 あ!またコワイ顔してるっ!!次に言うセリフを考えていたのか。後ろからつっつく。「笑って!」
★ 『オーパスワン』
では、ディレクター自らの案内ツアー。私が仕事の打ち合わせをする間、テイスティングルームで新しいボトルを開けてもらい、グビグビ。おかわり、いっぱいしてたんじゃないだろーなー。 コワクて聞けない。
★ 『100 エーカー』
昔、Vol. 134でお伝えしました。初リリース時に、「007 OPTION 」の名で【ポリプロピレン(電気絶縁体)、施錠、エアシールド、完全防水 ミリタリー級ブラックケース】を用いて華々しくデヴューしたワイナリーです。全ての数字「100」にこだわっています。ご記憶でしょうか?現在ドーヴァー海峡のトンネルよりも横幅の長い巨大ケーヴを建設中です。
完璧主義者とお見受けするオーナーのジェイソン・ウッドブリッジ氏は、収穫日初日というのに畑やケーヴを案内してくれましたが、「完成するまで写真撮影は控えてくれるかい?」と一言付け加えることも忘れませんでした。ところが!ちょっと目を話した隙にバシャバシャ撮っているではないか。さっき、「オーケィ」って返事してたんじゃないの?二度と来れなくなったらどうしてくれるざますっ!首をしめる。
★ プライヴェート・ディナー
も、もちろんあります。オーパスワンのロジャー&夫人と私達。彼にとってはガチンコ勝負とばかりに顔面蒼白になりながら、待ち合わせのレストランに。テーブルに『 ’94&’97 オーパスワン』が置かれているのを見た夫は「僕、頑張るよ!」と約束はしてくれたものの、ちょっと油断すると英語を理解しようとするあまり恐い形相 & 子泣きじじぃ顔になってしまう。気づかれないように足をける。「笑って!」
★ ミセス・ダラ・ヴァレがマヤ嬢を伴ってレストランに現れると、あんなに練習したはずのセリフ(しかも今回は日本語)がまったく出てこず、ペコペコ何度も頭をさげる夫は、隣にマヤ嬢が座ったあたりで緊張がピークに達した状態。シャンパーニュと牡蠣で乾杯するも、せっかく “日本語OK”のシチュエーションなのに無言…。『’94マヤ』をデカンタージュしてもらっている間も、感激のあまりか緊張のせいか瞳が宙をさまよう。自分から話しかけることは一切なく、聞かれたことに短く答えるのみ。おーい、しっかりしてくれー。「本人の横で『マヤ』を飲んでいるのかと思うと…。いやー、こんなに緊張したのは久しぶりだよ」だと。
★ 『グレイスファミリー』
が、彼にとって心のオアシスだったかも。ディックやアンとは、日本で温泉旅行に行ったり拙宅にお泊りしてもらったりの間柄なれば、すっかり打ち解けモード。「ずいぶん英語が上達したな!ケイコに教えてあげなさい」な~んて温かい Cheer Up をしてもらってご満悦。自宅のプールサイドにローストビーフやターキーが用意されており、2週間後にリリースされる『’05グレイスファミリー』がグラスに注がれるやいなや、あまりのうまさに電光石火の勢いでグビグビ。もっとゆっくり上品に飲んでよー。妻が収穫を手伝った2006年を樽試飲させてもらっても特にコメントもなく、あららプールサイドで昼寝を決め込んでしまったヨ。
★ ダウンタウンは恐くとも、ナパに来れば大丈夫だろうとハンドルをあずければ、信号は青なのにセントヘレナの交差点の真ん中でブレーキを踏み(ぎゃーっ!!)、「右に曲がって」と言ったのに左折する(ひーっ!!)。
こんなのが延々つづく…。へけへけ。
★ 番外編 『クリスピー・クリーム・ドーナツ』 in ラスヴェガス
実演をしているドーナツ屋の窓ガラスに思い切り頭をゴン!とぶつけて、隣にいた太ったおばさんにものすごくビックリされていた。
ミスター・ビーンかっ!
(昨年末にオープンした新宿店は日本のメディアでひっぱりだこですね。朝の5:30から並んでいるとか2時間待ちはザラとか。アメリカでは、どこもガラーンと空いてます。)
と まぁ 道中、時には厳しく 、時にはなだめながら&励ましながらの里帰りだったわけでございます。 ぜーぜー。
そして。旅の最終日、私の苦労が報われるような奇跡がおきたのであります。帰途につくSFO空港のセキュリティで、誰よりも早い動作で荷物やら靴やらをテキパキと私の分までトレーに乗せて準備万端。フツーの人にとっては、当たり前のことなのですが、彼にとっては生まれて初めての行動でしょう。仕事以外のことは、逐一私に指示されるまで全く動かないのが常だったので、私は褒める言葉?も忘れ小さく叫んだ。「べ、別の人みたいっ…」
本人が一番びっくりして一人ごちたセリフがこれ。
「『ケイズ ブートキャンプ in ナパ/ソノマ』は効果抜群だなぁ」
※ 夫の本職ではとっても頼りにしている&尊敬していますので、ご心配なく(笑)
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